漆<うるし>は、漆の木から採取する黒い樹液です。漆の木に傷をつけて採取、精製することで、作品用の漆ができあがります。
日本産の漆には主成分 ウルシオールが多いことから、光の屈折率が大きく、色に深みがあり、かつ傷つきにくく、耐久性に優れています。
漆は主に木地の器(うつわ)に塗る塗料として、利活用されてきました。いわゆる“漆器(しっき)”です。その中で代表的なものが、「日本の伝統的工芸」として知られている「輪島塗」(石川県)、「京漆器」(京都府)、「会津塗」(福島県)などです。
漆の光沢や偏光度合、耐久性が“漆”の最大の特長として、人々を魅了し続けてきました。
漆「うるし」は「うるおう」「うるわしい」など、漆の艶や塗り肌を表現したもの・語源で、日本の長い歴史の中で、漆が大切にされ続け、「言葉」として残ったのです。
接着剤としては、はるか昔、矢じりの補強として、現在では陶磁器を修復する「金つぎ」などで漆が使われています。
しかしながらも、私たちが作る漆器には、乾燥や異なる気候などによって「経年劣化」するなど、“限界”があります。
従来の漆器の「経年劣化」による寿命年数を、“億”単位で遥かに超えるために、生み出したのが新たな技法『芯漆<しんしつ>』なのです。