豊富な世の中、生活スタイルやモノの選択肢が増えると同時に、器の選択肢も急増しました。ガラス、プラスチック、ステンレスなどの素材で器を大量生産、価格も100円前後で購入できる時代になりました。
同時に漆器の需要は劇的に減少しました。
私たちが住む輪島には全盛期、輪島塗に関わっている事業者が700軒あったと言われていますが、現在では60軒ほどに減少しました。
これが“漆”の現状なのです。
これは漆芸・輪島塗だけに言えることではなく、全国の日本伝統工芸に対しても言えることかと思います。また、漆器の価格を下げるために、日本産の漆から、遥かに安価な中国産に変えてきました。
私たちは、「このままだと日本の漆伝統文化はなくなる」という危機感を持ち、“漆”の研究を開始、目標としたのが「世界で活躍でき、永遠に残る漆」です。
海外でも劣化せず、長年持つ「宝」「財産」「美術品」となる“漆”が必要と考えました。
縄文時代からも発掘されてきた“漆”は『財産』『宝』として残せるだけのポテンシャルと魅力があるのです。
そして、「これまでにない」「人とは違うことをしたい」を基本概念に、根本を覆すような発見・技法が、“芯”から表面まで100%日本産の“漆”を活用した『芯漆』なのです。